「5000年前のヒト」に会いに:ボルツァーノ

5000年前に生きた人のミイラ。
むしろ「アイスマン(Ötzi)」という名前の方が有名かもしれない。
セナレス峡谷の氷河の中から1991年に発見された彼は今、イタリアは南チロル地方の街、ボルツァーノにいるのである。
以前、ボルツァーノ出身の知り合いに、「ボルツァーノのミュージアムには5000年前の人間のミイラがあるんだよ」と聞いたのを思い出し、南チロル考古学博物館に足を運んでみた。
ちょうどアイスマンの特別展の開催中。それもあってか、思っていた以上の人の入り。課外授業らしい小中学生の団体が多いが、一般の人も結構いる。

クラシックな建物外観からは意外な位、中の展示スペースはモダンで見易く造られている。ビデオ、マルチメディアなどを使って、前知識も無く来場した私のような来場者も、ミイラを見る前に、彼が生きていた時代や彼が氷河で眠っていた時代の歴史、そして世界各国の新聞でアイスマン発見が報じられた事を知ることができる。
発見現場の映像を見た。氷河の雪解け水の流れの中に、うつ伏せで発見されたアイスマン・・・映像を見る限りでは、まるで山岳の一遭難者のよう。それが実際は5000年前のヒトだったとは、発見者も驚いたに違いない。
肝心(?)のミイラは、小さな窓から中を覗く形になっている。
享年45(プラスマイナス5歳)、生前は身長160センチ、体重50キロと推定される彼の重さは、今は15キロなのだそうだ。左腕が奇妙に右肩の方に曲がっていて、まるでストレッチしているみたいだ。
・・・・・・大きな鰹節、みたいであった。
しかし考えてみると魚もヒトも、乾いたら同じように鰹節みたいになる(?)のだから、この感想も当然といえば当然かも、と我ながら貧困な想像力に言い訳(笑)。
私ももしどこかで行き倒れて5000年後にミイラで発見されたら、きっとこんなんなってるんだろうな、と思いながらアイスマンと対面。
彼の身体にはブルー・ブラック・ラインのタトゥーが見られ、
彼の左肩からは矢の先端が見つかり、傷を負っていたことが研究で分かったのだそう。
他にも、一緒に見つかった彼の身に着けていた衣類や帽子・靴等の装具や、生前のアイスマンの復元模型、なども展示されている。
ミュージアムの特別展内各所には、なかなかユニークなアイディアが散りばめられている。
座布団風のクッションが所々に重ねて置いてあったり(好きな所でゆっくり座って見て、ということ?)、
顕微鏡でアイスマンの大腿骨を見る事ができるコーナーがあったり。
ミイラ展示階の上階もなかなかユニークで楽しんだ。
アイスマンに関する諸々、が展示されているのだが、これが本当に「諸々」で、
アイスマンを使った風刺イラストとか、「POPスターのアイスマン」というタイトルで、POPソングに歌われたのをヘッドフォンで聴けるようになっていたり、アイスマンが特集された各国の「ナショナル・ジオグラフィック」誌(2007年7月号)を展示していたり(もちろん日本版もあった)。
エコロジストのブラッドピットが2007年に左腕にアイスマンのタトゥーをしていた、なんていうのも、写真入りで展示していた。
(2枚目以降の写真は南チロル考古学博物館サイトより拝借)
南チロル考古学博物館のサイトはこちら↓
http://www.iceman.it/it/info-museo
Museo Archeologico dell'Alto Adige
Via Museo 43, 39100 BOLZANO
Tel: +39 0471-320100 Fax: +39 0471-320122
開館時間:火曜-日曜 10時~18時(入場17時30分まで) (木曜は19時まで)
休館:月曜(祝日の場合は開館。7・8・12月は月曜日も開館)、1月1日、5月1日、12月25日は休み。12月24・31日は15時閉館(入場14時30分まで)

by sumiciki
| 2011-12-14 03:37
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