ヴェネツィア・スクラップブック

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ヴェネツィアで観る 「天空の城ラピュタ」

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日本で昔に観た思い出の映画を、異国にて他の言語の吹き替えで観る、というのは、いつもなんだか不思議な感じだ。

今年の4月からイタリア各地で上映していた「天空の城ラピュタ」が、やっとヴェネツィアの映画館にもお目見えした。

イタリア語のタイトルは「IL CASTELLO NEL CIELO」、つまりオリジナルのタイトルそのまま「天空の城」、でも「ラピュタ」が取れている。

それにしても、ヴェネツィア映画祭で受賞歴もあり人気も高い宮崎駿さんの代表作のひとつであるこの作品が今まで上映されていなかったのは、なんでだろう?
しかもヴェネツィアの映画館では、週末の2日間だけの上映だった。

もっと上映期間が長ければ(といってもヴェネツィアの映画館でのロードショー上映期間は、普通でも驚くほど短い。一週間~上映会場を移してもせいぜい二週間程度)、より多くの人に観てもらえるのだけれどなあ、と思いながらも懐かしさと共にいそいそと出掛けて観て来た。

こちらの映画は殆どが吹き替えである。だから今回も字幕ではなくイタリア語の吹き替えだったのだけれど、違和感無くストーリーに入れたのは、吹き替えも声優さんも良かったからかもしれない。

初めてこの映画を日本で観た時には、将来自分がヴェネツィアの小さな映画館で、イタリア語で同じ映画を観ることになるとは予想だにしなかったよなあ、と当時を懐かしく思い出した。

映画の中に散らばる、あ、こんな絵があったっけ、という、美しいシーンの数々。空から主人公が見下ろす、自分の暮らす山あいの家。朝、山に向けて吹くトランペットと山を飛ぶ鳩の群れ。パンと目玉焼きのなんとも美味しそうな朝食。力いっぱい走る人の動き。突風の中で主人公を導く亡き父親の幻像。金で買収され引き返す主人公の、台詞もなく歩き走るだけの姿から滲み出る悔しさと無力感・・・・・・。

宮崎さんが書くシーンの美しさは、そこに、孤独も悲しみも冒険も、色々入っている美しさなんだろうなあ、と思う。それが、映画全体をただの冒険譚で終わらせない、なんだか美しく切ないものに仕上げている。

余談になるけれど、私の少し前の席に、3歳位の男の子(チリチリパーマの髪がなんとも可愛かった)を連れた3人家族(パパとママ)が観に来ていたのだけれど、この小さな男の子が、映画のストーリーが進むにつれてどんどん身を乗り出して、後半では前の座席の上に体をかぶせる様にしてかぶりついて観入っていた。ただ楽しいだけの、キャラクター映画だったら、この子はこんな風には観ていないだろう。この映画が、この小さな男の子の内でどのように育まれていくんだろうか、そんな事を思いながら観ていたのでした。

これも余談ですが、エンディングの「君を乗せて」(宮崎駿さん作詞・久石譲さん作曲)はオリジナルの日本語だった。この大好きな歌を懐かしく嬉しく聴いて、久々に口ずさみながら帰途についたのでした。
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by sumiciki | 2012-08-03 08:57 | 映画・舞台など

ヴェネツィア在住。雑記帳ブログ。
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