ヴェネツィア・スクラップブック

カテゴリ:ヴェネト州(ヴェネツィア以外)( 3 )




ブリオン・ヴェガ墓地とスカルパのお墓

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墓地の設計、というのは、設計者にとってはある意味理想的な仕事ではないだろうか。
ここを訪ねる度に私がまず思うのは、このことだ。スカルパさん、よかったですねえ、と。

トレヴィーゾ郊外の、サン・ヴィート・ディ・アルティヴォーレという小さな街に、ヴェネツィア出身の偉大な建築家、カルロ・スカルパ設計の「ブリオン・ヴェガ墓地(Cimitero Brion-Vega)」がある。
1970年から75年にかけて、約2400㎡という広大な敷地に造られた、イタリアの電機メーカー、ブリオン・ヴェガ社の社長一族の墓地。

墓地というのは、所有者一族が基本的には変わらないから、一般建築物のように、例えば好意的な発注者がいなくなった後に、経済的な理由などで取り壊しや改築の憂き目にも遭うこともない。
始めから、発注者が亡くなった後での、永遠の住処の設計を依頼されているのだから。

一方で、例えば、同じくスカルパの作品でも、ヴェネツィアのサンマルコ広場に面する彼の設計になる「オリヴェッティ・ショールーム」は、最近になって再度公開されているが、その前は暫くの間クローズしており、更にその前には画廊が入っていたため、オリヴェッティ社プロダクトのショールームという当初の設計の目的とは異なる品々が展示されていて、そこの店の前を通りがかる(そしてまた時々中に入る)度に、私は建物のデザインと内部展示の何とも言えないちぐはぐ感と、人手に渡った建築の変遷を感じずにはいられなかったのだった。
その点、墓地というのは、なんとも理想的な仕事と言えるのではないだろうか。

スカルパの代表作のひとつであるこの墓地については、多くの建築関係の書籍などで詳しく紹介されているので、詳しい説明はする必要もないと思う。そしてまた、彼の建築言語とでもいうのか、ここを訪ねた人はそれを体中で感じることができるだろう。
イタリアの、そしてヴェネツィアやその周辺の街の古い街並みの中に生まれ育った彼の中に、どうやってこのような建築の概念が育まれていったのか・・・。

ただ、(これも現地を訪ねれば一目瞭然なのだけれど)建築関係やスカルパ作品を紹介している本では、スカルパの設計した、ブリオン一族の墓地の部分しか写真に写っていなかったり、その部分だけを紹介しているのだが(まあ当然なのだけれど)、
実際にはブリオン家一族のための、この広大な敷地の手前に、他の一般の人々が眠る市民墓地が広がっている。
つまり、一般の墓地の奥に、特別扱いのブリオン家の広大な墓地空間が広がっている形になる。

先日私がここを訪ねた時にも、建築を学んでいるアジア系の学生の団体さん、そして数組の2~3人の個人客が訪れて写真を撮ったりしていた。

その地の墓地には縁も所縁も無い多くの人達が、一般の墓地には見向きもせずに奥の一部の墓を訪ねて見学し、手前の一般墓地では(たまたま日曜日の午前中だったこともあり)家族や先祖の墓に花を手向けている人達がいる。亡き個人を供養する人と、墓地を見学する所縁の無い人達が同じ敷地を行き来している光景は、少し引いて考えてみると、ちょっと風変わりだなと思う。

この地でガイドをしているイタリア人の知り合い曰く、スカルパは墓地空間を(それまで一般的だったものとは違って)悲しみの空間ではなく、庭園~それも瞑想的な空間、水のある空間、静謐な空間を伴った~のような空間にしたいと考えたのだと言う。
確かにそれは実現され、今なお現存している。
そしてこのスカルパの傑作のすぐ脇では、所謂「伝統的な」「一般的な」墓地で、地元所縁の人達が、亡き個人の墓石に花を供えて祈っているのだった。

ちなみに、このブリオン家のお墓のすぐ近く(でも仕切り壁で隔ててある)に、設計者スカルパのお墓もある。
こじんまりとした、美しいお墓だと、いつも思う。
前述の知り合いのガイドによると、ヴェネツィア出身であるスカルパは、一般的には遺体は水平に埋葬されるものだが、彼がここに埋葬される時には「ヴェネツィアの街を下で支えている木の杭のように」垂直に埋葬されることを望み、実際そうされているのだという。

ヴェネツィア出身の彼が、自らこの地に眠りたいとブリオン家に頼んだのだという。
出身の地を離れてでも、自分がその脇で眠りたいと望むほど、それだけこの地とこの作品をスカルパは愛していたのだろう。その死地は、私には羨ましくもある。

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by sumiciki | 2012-03-03 23:08 | ヴェネト州(ヴェネツィア以外)

コルティーナ・ダンペッツォ 標高2000mのぶらり散歩

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コルティーナ・ダンペッツォに出掛けて来た。
用事が済んだらすぐに長距離バスでヴェネツィアに戻らなくてはいけなかったのだが、
バスの出発時間まで数時間あったので、散歩がてらロープウェイで2000m級の山へ上がってみる。

Autostazione(バス・ターミナル)から歩いて2~3分程度の近い所に、Faloria山方面のロープウェイ乗り場がある。
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30分毎に運行している。
チケットを買って、
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乗り込む。
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途中乗り継いで、乗り継いだ2本目のロープウェイが、ぐんぐん急斜面を上がって行き、
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15分もあれば2123mの山の上方へ到着。
ちなみに往復16.5ユーロ(2011年8月現在)。
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乗り場近くにロッジがあって、そこのテラスでデッキチェアーに寝そべってポカポカとひなたぼっこしている人達も多い。
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そこから山を散策していける。

山肌が、あたかも雪を頂いているように白く見えるのは、これらの山がドロマイトという岩石で形成されているから。
ドノミティ、という山脈の名は、この岩石の名、ドロマイトに由来しているらしい。

私の散歩は残念ながら時間の関係上ここまでなので、山道は歩かず、花よりダンゴで
パノラマを楽しみながら名物シュトゥルーデル(アップルパイ)を楽しむ。
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バス待ちの間の、標高2000mの散歩。楽しみました。
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by sumiciki | 2011-09-06 23:12 | ヴェネト州(ヴェネツィア以外)

ミズリーナ湖

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1泊でコルティーナ・ダンペッツォから車で30分ほどの所にある、ミズリーナ湖(Lago di Misurina)へ。
ここもドロミテ山塊の観光地として知られているが、コルティーナに比べるとずっと人の数も減る。
ここが、ヴェネツィアと同じヴェネト州に属するのがウソのような、別世界。

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ここ標高1756mに建つホテル脇の花壇には、エーデルワイス(イタリア語でStella Alpina:アルプスの星の意)が植わっている。

湖畔には、イタリアで唯一の、小児用の喘息療養施設があるそうだ。それだけ空気がきれいということだろう。

湖畔から眺められる山々は、トレ・チーメ(Tre Cime:3つの頂の意。ただここからは角度の関係で2つの頂しか見えない。3003m)やソラピス山(Sorapis:3205m)など、3000m級の山が望める。

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by sumiciki | 2011-09-03 21:36 | ヴェネト州(ヴェネツィア以外)

ヴェネツィア在住。雑記帳ブログ。
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