イタリアでの日本の「アニメ文化」の実感は・・・
日本でもいつだったか(麻生元首相の時だった気がするが)日本の「アニメ文化」が注目された時期があったが、
日本にいた時にはいまいちピンと来ていなかった、「海外そしてイタリアでの『アニメ文化』」というものを、こちらに来て日々の生活の中で実感すること、しきり、である。
彼等は、日本のアニメに「注目する」という感覚というよりはむしろ、自然に「それを観て育っている」のである。・・・というのが、私の印象。
以前こちらイタリアのテレビ番組で、それは旅行番組でリグーリア州とイオニア海を特集していたのだが、
真っ青な空とその下に広がるイオニア海。そこを行く一艘の漁船に司会の女性が乗船して、海とそこで取れる魚、そしてその地方の魚介料理を紹介するという、いかにもイタリアンな内容だったのだが、
美しい青き海に浮かぶ船の船体に大きく描かれていたのは・・・・・・
竿を担ぎガニ股姿の「釣りキチ三平」だった。
それを見た途端、私にはコロンブスも眺めたであろうリグーリアの海が日本海に見え、釣りキチ三平の「オーレは釣りキチ三平だ、竿を握らしゃ日本一の~」というお馴染みの主題歌が頭の中に鳴り響き、のけぞったのだった。
漁船といったら、釣り人にとってはある意味大切な盟友であり戦友だ。そこにデカデカと「釣り吉三平」なのだから、これは船に乗っていたイケメンおじさんの、相当な思い入れだろう。
こちらで大学生や30~40代位の友人達(特に男性)との話題に出ることもしょっちゅうだ。
私が幼い頃に見ていたアニメを、私より一回り年下の彼等が見て育っているのは、日本のアニメがこちらで放映されるのにタイムラグがあるからだろう。
それにしても、こちらに来て昔のアニメ話題で盛り上がる事になるとは、想像もしていなかったこと。
タイガーマスク、マジンガーゼット、キャプテン翼(ちなみにタイトルは「キャプテン翼」とは言わない。主役の名前が変わっていて、「ホリー&ベンジ」となっている)、ドラエモン、ルパン三世、釣り吉三平、ドラゴンボール、キャンディ・キャンディ、ハイジ・・・挙げ始めたらもう、キリがない。
ちなみに「ベルサイユのばら」はこちらのタイトルでは「レディー・オスカー」。なるほど。
「ファンタマン」と聞いて何だ?と思ったら、なんと懐かしの「黄金バット」だった。これなんて古過ぎて私はまだ生まれていないから観ていない。
それをこちらの大学生が観ていたりする。
以前私が家で作ったおにぎりを見て、イタリア人の友人は「あーっ!『ルパン三世』でゼニガタ(←銭形警部)が食べてたヤツだ!」と歓声を上げた。「おにぎり」という名前は知っていなくても、それ自体はお馴染みなのである。(ちなみにラーメンを見た時にも彼は同じ事を言っていた。)
別にアニメオタクでも何でもなく、自然に彼等の内に溶け込んでいるのである、日本のアニメが。これは結構スゴイことではないか。
「ドラエモン」を観れば、一緒に日本の一般的な住宅、そして畳、押し入れ、布団も出て来る(そしてもちろんドラ焼きも)。それらをすんなりとアニメを観ながら受け入れているのである。
突然だけれど、私はここで「北風と太陽」の話を思い出す。旅人のコートを脱がせるために、北風と太陽が勝負をして、無理やり北風が冷たい風でコートを吹き飛ばそうとするが果たせず、逆に太陽が光を照らしたら、暑くなった旅人が自分からコートを脱いだ、という、あの話。
かつては時代の中で、占領下の国の国民に占領者達が自分の国の言葉を強制的に植え付ける、という時代もあったわけだけれど、「強制」からは「浸透」は生まれないのではないか。
よいと思うもの、面白いと思うもの、関心のあるものには、人は自然と懐を開くのだろう、と思う。
日本のアニメ、なかなかヤリますね。
by sumiciki
| 2012-04-02 00:47
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