ヴェネツィア・スクラップブック

漢字ブギウギ

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ヨーロッパの他の国に洩れず、イタリアでもタトゥーが流行っている。
イタリア語でTatuaggio(タトゥアッジョ)、という。

そしてまた、何でだか漢字でタトゥアッジョを入れている人を、時々見かける。
彼等にとって漢字というのは、デザイン意匠として、つまりビジュアル的に興味深いもの、らしい。


以前、こちらに住む日本人の友人が言っていたのだが、
「僕この前、腕にタトゥアッジョ入れてるイタリア人を見かけたんですけど・・・・『御手洗』って彫ってありました・・・」。
誰か知合いの日本人に、彫り込む前に意味を確認しなかったのだろうか。それとも、意味を知った上でなお、この「御手洗」という意匠デザインに彼は魅了されたのか。それともその人の彼女は日本人で「御手洗(みたらい)」さんという苗字の人かもしれないし・・・と、暫く気になって仕方がなかった。私が遇ったわけでもないのに余計なお世話なのだが。

また別の日、これは私が直接見たのだが、カジュアルな洋服を売っているお店のショーウインドウに、マネキンが浴衣らしきもの(しかし明らかに日本製ではない)を着て立っていた。
その浴衣には、様々な漢字がデザイン的に散りばめられているのだったが・・・・その中で、他の漢字よりも大きい字体で、しかも胸元近くの最も目立つ場所に印刷されていた一文字は・・・「尿」だった。
なぜよりにもよってこの漢字なのか・・・。
これも、印刷した人が「尿」というデザインにビビッと来たのか。それともとにかく漢字を散りばめただけで、意味の確認は全くしなかったのか(多分こっちだろう)。いずれにしても、それを気にしない人がこの服を買うのだろう(日本人は、まず買わないだろう)から、まあ問題はないのか・・・これも余計なお世話なのだが。

上の2つのエピソード(という程のものでもないが)は、漢字を見た途端にその意味を把握する日本人(というか漢字を母国語として使う人)と、いつまでもデザイン性でしか捉えていない外国人(漢字を母国語としない人)の違いが如実にそして断片的に表れていて、オモシロイ。

話は変わるが、ちなみに私もイタリア人の友人や知り合ったばかりの人に「私の名前を漢字で書いてほしい」とか、「息子と娘の名前を漢字で書いてもらえないか」、と頼まれる事がある。
これは中々辛い(オモシロイと言えばオモシロイのだが)。せっかく名前を漢字で書くのだから、あまりネガティブな意味の漢字は使いたくないし、などと日本人らしい考えが頭を擡げるけれど、当のイタリア人には全くそれは伝わらない。
先日頼まれた時は、彼の娘の名は「ジュリア」で、息子の名は「ファビオ」だった。
あまり時間の無い時だったので、急いで考えた。
「ジュリア」は「ジュ」にちょっと迷ったが、「儒利亜」。カトリックにしてはちょっと儒教っぽかったか。
「ファビオ」が難しい。「ファ」の発音の漢字ってなんだ。思わず手元の電子辞書の漢字辞典を使ったら、頼んだイタリア人に「なんで自分の母国語なのに辞書使って探しているんだ」と変な顔をされた。
それでも「ファ」が見つからなかったので、考えた結果(というほどでもないのだが)、苦し紛れに「普亜美雄」と書いた。
彼が呉々も子供達の腕にこの苦し紛れな漢字のタトゥーを入れない事を願うのみである。
私は私で、「ジュリア」の「ジュ」は「儒」でイケルけど、「アンジェラ」と頼まれたら「ジェ」はどうしよう、とか、またしても余計な事が気になっている。

また時々は、自分の腕に既に彫ってある漢字のタトゥーを見せられて、「これ、読めるか?」と訊かれることなども、ある。
相手は、私に見せたい、のである。見せて読んでほしくてたまらないのである。
これも、結構苦しい。
先日見せられたのは、「安麗散土露」だった・・・「・・・アレッサンドロ、・・・かな?」と答えてあげると、彼は「当たり!!」と満面の笑みだった。
暴走族の落書きの雰囲気を醸し出す、これらのイタリア人名の漢字表記・・・「これ、暴走族みたいでちょっとキツイよ」と言っても伝わらないだろうから、いつも言わないでいるのだが、どうしたものだろうか。

イタリアを旅行される旅行者の皆さん、道行くイタリア人のタトゥーに注目すると、なかなか面白い土産話ができるかもしれません。
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by sumiciki | 2012-03-01 23:55 | 日々の生活で

ヴェネツィア在住。雑記帳ブログ。
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